パワー・オブ・ザ・ドッグ カモン カモン ツユクサ
米アカデミー賞は、2月号でも紹介した聴覚障害一家の感動の物語「コーダあいのうた」が最優秀作品賞に。私の最終予想は6勝1敗! 予想結果の詳細は、私のブログかインスタを観てくださいね。でも「パワー・オブ・ザ・ドック」も良いですよ。
パワー・オブ・ザ・ドッグ
2022年アカデミー賞最多ノミネート。
Netflixにて公開中。
映画ファンならばこの作品を観ないわけにはいかない。アカデミー賞最多11部門12ノミネートで監督賞を受賞した。100年前の牧場を舞台に、寡黙で女性差別的な牧場主の秘めた愛を描く。さすがジェーン・カンピオン監督。女性の細やかな感性で物語を紡いでいき、思いもよらない事態をスクリーンににじませる。
そう、この「にじませる」部分が今回の評価の高いところ。テレビでは難しい微妙な感情表現、映像表現をどう観客がくみ取って解釈するかが楽しいのだ。もちろん、それを体現化したのは主演のベネディクト・カンバーバッチ。アベンジャーズのブロックバスター映画でドクター・ストレンジ役に親しんでいる人たちにぜひ、彼の真の実力を観てもらいたい。
さらに助演男優賞に二人、助演女優賞に一人ノミネートされたということは、物語の主要メンバーすべて素晴らしいということなのだ。
Netflix映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』独占配信中
監督脚本:ジェーン・カンピオン
原作: トーマス・サヴェージ
キャスト:
ネディクト・カンバーバッチ、キルステン・ダンスト、
ジェシー・プレモンスコディ・スミット=マクフィー、
トーマシン・マッケンジー、ジュヌヴィエーヴ・レモン、
ピーター・キャロル、アリソン・ブルース、
キース・キャラダイン、フランセス・コンロイ
カモン カモン
突然始まった甥っ子との共同生活。想定外から生まれた奇跡の日々。
かの「ジョーカー」でアカデミー賞主演男優賞を獲得したホアキン・フェニックスが、一転、心温まる名演を魅せる。
ラジオで子供のインタビュー番組を制作している主人公(フェニックス)がひょんなことから、長期にわたって姉の子を仕事場にも取材先にも連れて行くはめになる。子供が持っている、不可解さ、楽しさ、危うさ、かわいさ、厄介な部分を観ているうちに、この疑似親子関係がじんわり心に沁み込んでくる。ただ、作品中、最も存在感を見せるのはフェニックスではなく、子供たち。彼が番組に登場させる子供たちのインタビューがすべて「リアル」なのだ。
自分の夢や親に対する不満等々、子供たちは大人が考えている以上に豊かな感性で世界を見据えていることがわかり、非常に心を打つ。子育ては頭にくるほど大変、でも自分もこうだったんだろうなと思い出させてくれる一本。
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4月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督脚本:マイク・ミルズ
キャスト:
ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン
モリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング=ホワイト
ツユクサ
大人の人生にそっと寄り添ってくれる、あたたかい映画が届きました。
「小林聡美印」は安心の印(笑)。「かもめ食堂」「めがね」など心がほんわかふんわりとする作品が多い。今回もそう。小林さん演じるヒロインが隕石の直撃(笑)を受けたことをきっかけに、自分にも周りにも人生の新たなステージに向けて歩みだす事態が訪れる。傑作なのは小林の悪友の平岩紙と江口のりこ。3人の会話はまるで「おばちゃん3バカトリオ」でいちいちおかしい。この3人でスピンオフドラマをテレ東深夜枠でやったら絶対当たる(笑)。
それぞれがささやかな幸せに向かって踏み出すのだが、ここでポイントは、冒頭でヒロインがぶつかった隕石が「月の石」だということ。そこで思い出すのが「人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍」という月面着陸時のアームストロング船長の言葉だ。そう、新しい人生への一歩は、誰にとっても大いなる飛翔なのだ。
Ⓒ2022「ツユクサ」製作委員会
4月29日(金祝)全国公開
監督:平山秀幸
脚本:安倍照雄
キャスト:
小林聡美
平岩紙 斎藤汰鷹 江口のりこ
桃月庵白酒 水間ロン 鈴木聖奈 瀧川鯉昇
渋川清彦 / 泉谷しげる / ベンガル
松重豊