劇場 一度も撃ってません いつくしみふかき
今月も頑張って病室から執筆してます。久しぶりに映画に出演しました。行定勲監督の新作「劇場」です。物語で注目劇団の公演劇場の観客の一人として 座ってます。注意してみてれば、わかります!!(笑)
劇場
「恋愛がわからないからこそ、書きたかった」 又吉直樹の異例の大ヒット恋愛小説の実写化。
見ながら始終文句を言っていた。「なんでこんないい子がこんな男にくっついてんだよー」。気づけば文句を言うほど物語に取り込まれている自分がいた。芥川賞作家でお笑い芸人の又吉直樹の原作を、行定勲監督が手がけた。
うだつの上がらない演劇作家青年(山﨑賢人)と寂しがり屋のヒロイン(松岡茉優が超魅力的!)のラブストーリー。この世の中、よくできた女の子はダメ男とくっつく(笑)、そん な2人のハラハラしイライラした生活を中心に カメラは回るのだが、山﨑賢人のモノローグが 非常に効果的で、まるで原作小説を読んでいるような雰囲気を醸し出している。さらに言えば、追い込まれたクリエイターの才能の開花する瞬間を描いている点で面白い。自らの経験を作品に込め、傑作を作り上げる。それは大いなる切なさを伴うものでもあった。
ちなみに私、この作品に出てます。劇場のお客さんとして顔出してますんで、よかったら注意してみて下さい。
2020年制作 配給:吉本興業
監督:行定勲
キャスト:山崎賢人、松岡茉優、寛一郎、伊藤沙莉 他
一度も撃ってません
巷で噂の伝説のヒットマン? いいえ、正体はハ ードボイルドを極めるただの小説家だった!
味のある芝居合戦を堪能。「大鹿村騒動記」でスマッシュヒットを飛ばした阪本順治監督が 再び超ベテラン俳優たちを集め、いぶし銀の芝居で見せるハードボイルドコメディー。
普段は売れない作家、実は伝説の暗殺者を石橋蓮司が渋くクールに演じれば演じるほど哀愁とおかしみが漂い、見ながらニヤニヤしてしまった。その妻に大楠道代、腐れ縁の女に桃井かおり、怪しい元ヤメ検に岸部一徳と役者が揃った。ハードボイルドに暗殺行為が進むこの4人のなんとも言えない絶妙なカルテットが面白くて仕方が ない。さらに物語の強力な脇役として、江口洋介、妻夫木聡、豊川悦司。阪本組の絆でつながっ ている実力派俳優たちが一人ずつ登場。”阪本組祭り ” に参加して損なしだ。単なるカメオ出演でなくそれぞれシッカリと芝居を見せるところが阪本流。
人生を終えそうな高齢者たちがそ れでもなお自分らしく生きようとする姿におかしみと悲しさと、うらやましさを感じた。
2020年制作 配給:キノフィルムズ
監督:阪本順治
キャスト:石橋蓮司、大楠道代、岸部一徳、桃井かおり、豊川悦司、江口洋介、妻夫木聡 他
いつくしみふかき
数々の映画祭の賞を受賞の注目作品。大山晃一郎監督、要チェックです。
物語にぐいっと引っ張り込まれる力あるある 作品だった。2018年・ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の観客賞を受賞した「カメラを止めるな!」に続き、2019年度・観客賞の注目作。
地方の集落で、自分が生まれる時にあろう事か、父が犯罪を起こし”悪魔”として村から追放された。息子の主人公も”悪魔の子”と してみなされ、引きこもりのまま大人になり父親への復讐しか考えなくなる。その二人が出会うとき、何が起きるのか? 父(渡辺いっけい) と息子(遠山)の父と子だけがわかる血をめ ぐる複雑な感情が見事に描かれる。
地方の村のドロドロとした差別感情が全編を通じて緊張感を生み、渡辺いっけいと遠山雄の芝居から目が離せない。特に渡辺いっけいの人 間性を疑うような芝居は出色であり、なぜか 「復讐するは我にあり」の緒形拳と重ねてしまうほ どであった。
2018年制作 配給:渋谷プロダクション
監督:大山晃一郎
キャスト:渡辺いっけい、遠山雄、平栗あつみ、榎本桜 他