正しい知識で“善玉頭痛”の軽減を

頭痛のつらさを我慢していませんか?

 日本人の「頭痛もち」は3000万人といわれ、読者にもお悩みの方がいらっしゃるかもしれません。頭痛は病気ではありますが、脳や体の疾患に由来するものでない限り、正しい知識をもって対処すれば痛みを軽減し、楽に過ごすことができます。

頭痛のタイプを知る

  頭痛は大きく2つに分けられます。1つは、脳や体に何らかの疾患があるために起こる〝悪玉頭痛.(二次性頭痛)です。いつもと違う頭痛の場合、くも膜下出血や脳腫瘍など命を危険にさらす病気が潜んでいるおそれがあるので、すぐに脳神経外科を受診する必要があります。

 もう1つは、特に脳や体に疾患がないのに起こる〝善玉頭痛.(一次性頭痛)で、主なものに「片頭痛」「緊張型頭痛」「群発頭痛」があります。多くの方が自己流治療でやり過ごしていますが、自分の頭痛のタイプを知り、正しい薬の使い方を知って痛みを軽減させることができます。

善玉頭痛のタイプと対処法

 「片頭痛」は、片側のこめかみのあたりがズキズキする激痛で、吐くこともあります。主に月に1~2回ですが、何カ月も毎日続く慢性片頭痛も知られています。圧倒的に女性に多く、人によっては、視野の中にギザギザの閃光が拡大する前兆が20分ほど先行してから頭痛が起こります。約75%が遺伝性で、これに不規則な生活や不摂生、ストレスなど複数の誘因が結びついて発生します。

 片頭痛が起きたら早めに鎮痛薬を服用する、暗い静かな部屋で横になる、患部を熱冷却シートで冷やす、カフェイン飲料を飲む、などで対応しましょう。薬を嫌う方もいますが、初期段階に飲むのが片頭痛を軽く済ませるコツです。生あくびが出たり目の前がチカチカしたり、前触れの後に頭痛がしてきたら飲んでください。痛みが本格化してからの服用では効果が薄れます。もちろん飲み過ぎもよくないので、片頭痛を繰り返す場合は病院で予防薬を処方してもらいましょう。特に治りにくい片頭痛には、CGRP(片頭痛の発作に関与するとされる神経ペプチド)標的の注射剤も使えるようになりました。

 一方、「緊張型頭痛」は中高年に多い頭痛で、いつとはなしに痛みが始まり、だらだらと続きます。後頭部から首筋にかけて重圧感や、鉢巻きをしているような圧迫感があるのが特徴です。治療には生活習慣の改善が大切で、悪い姿勢や枕の改善、日常に運動を取り入れましょう。

 「群発頭痛」は20~30代の男性に多く、片側の眼の奥、眉毛、こめかみの部分に激しい痛みが起こります。誘発原因は飲酒や喫煙、不規則な睡眠など。専門的知識が必要ですので、頭痛専門医など痛みに詳しい先生がいる施設、脳神経内科、脳神経外科などを受診してください。

監修
間中 信也

まなか・しんや

社団綾和会間中病院 名誉院長

https://www.manaka-hp.jp/

1965 年東京大学医学部卒業。医学博士。東京大学脳神経外科助教授、帝京大学脳神経外科教授などを経て間中病院院長に就任(現・名誉院長)。日本脳神経外科学会専門医、日本頭痛学会名誉会員を兼務。「頭痛大学」主宰。『頭が痛い』ほか著書多数。