肩こりとは別物です。
突然、中高年の肩を激痛が襲うことがあります。「年だから」と我慢したり放置したりせず、すぐに整形外科で原因を診てもらいましょう。五十肩(肩関節周囲炎)の治癒には時間を要しますが、炎症期を過ぎれば積極的に動かすことが回復につながります。
謎の多い疾患、五十肩
中高年の人が、ぶつけたりひねったりしていないのに肩の痛みを感じると、一般に「五十肩(または四十肩)」と呼ばれます。五十肩という言葉は江戸時代にはすでに使われていた記録があり、広く知られた疾患である一方、その定義ははっきりしておらず、「明確な原因がない、初老期に生じる肩関節の痛みと動かしにくさを生じる疾患」とされています。多くの人を悩ませているのに、なぜ40~60代の中高年に生じるのかも未解明で、謎の多い疾患です。
五十肩の症状は、痛みが強くじっとしていても痛い期間(炎症期)を経て、関節が固まって動かしにくい期間(拘縮期)に移行し、その後痛みが軽快するとともに関節が徐々に元通り動くように(寛解期)なります。基本的には自然に治癒しますが、その経過は長く、1年半から2年を要します。似た疾患として石灰性腱炎や腱板断裂、頚椎症性神経根症などがあり、整形外科医の診察とレントゲン写真でほとんど診断がつきます。場合によってはMRIや超音波検査を行うこともあります。
五十肩の治療と予防
じっとしていても痛い炎症期には、無理に動かさず安静にしていることが大事です。痛み止め薬の服用や炎症を抑える注射を肩にすると、症状が軽くなることがあります。
そして次の拘縮期に移行すれば、むしろ積極的に動かすことが必要です。腕が上がりにくくなっているため楽に動かせる範囲でのみ動かしたくなりますが、それではいけません。動かしにくい方向に痛みを感じるまで動かすことが大事です。苦痛を伴うので努力が必要ですが、ここで頑張れるかどうかでどこまで回復するかが変わってきます。病院でのリハビリだけでなく、暇さえあれば自分で動かすようにしてください。
五十肩を予防するには、よい姿勢と肩甲骨の動きが重要であると言われています。胸を張って肩甲骨を引き寄せたり、大きく肩を回して肩甲骨まわりの筋肉の緊張をほぐす運動などを日常に取り入れ、炎症が起こりにくいように予防しましょう。