その眠気と疲労感、放置しないで
健康を維持するには、ぐっすり眠ることが大切ですね。目覚めが悪く、日中に強い眠気に襲われる人は、睡眠の質が悪いことが疑われます。原因の一つとして知られる睡眠時無呼吸症候群は全身性疾患といわれ、健康への多大な影響に注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群とは
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnoea、以下OSA)とは、寝ている時に喉の奥で気道が塞がれ、呼吸が完全に停止、または低呼吸になってしまう病気です。熟睡できないことから、居眠り、判断力の低下、交通事故のリスク上昇など、生活に支障をきたします。また、無呼吸により繰り返す低酸素血症が全身性炎症を促進し、高血圧、糖尿病、不整脈の原因となります。さらに無呼吸の繰り返しで、脳への酸素供給が減り、記憶などに関わる海馬に悪影響を及ぼすことが報告されています。これが、将来の認知症につながる可能性もあります。
OSAの原因と症状は?
原因としてまず挙げられるのは、肥満です。首回りや顎、気道周囲などに脂肪がたまり、筋肉が緩む結果、上気道を狭めます。しかし、痩せていても、小顎の人では、喉が狭くなり発症することがあります。飲酒も悪化要因の一つです。アルコールが呼吸運動を抑制し、その結果、無呼吸が起こりやすくなります。
症状は、いびきを不規則にかく、呼吸が時々止まる、昼間に眠い、夜間にトイレの回数が多い、熟睡できない、起きた時に口の乾燥が強い、起床時に頭痛がある、などです。
診断されたら早期に治療を
前述の症状がある人について、問診の結果や体の所見から判断し、検査を行います。自宅での簡便な方法として、手指にパルスオキシメトリーを装着して無呼吸による低酸素状態を診断し、鼻には呼吸センサーを装着して気流やいびきを計測する検査があります。さらに詳しい検査が必要な場合、1泊入院で実施します。1時間の睡眠中に「無呼吸(1回10秒以上呼吸が停止)」と「低呼吸(呼吸の換気量が50%以下に低下)」を足した合計が1時間に5回以上、もしくは、一晩に30回以上ある場合にOSAと診断されます。
軽症の場合は、マウスピースを装着し、喉が塞がるのを防ぐことで症状の改善を試みます。また、減量により半数程度の人が軽症化します。症状に応じて、鼻に装着したマスクから空気を送りこむことで気道を広げる、持続陽圧呼吸療法(CPAP)を行います。
日中に眠気が生じても、多忙で睡眠時間が短いため、などと思っていませんか。早期に治療することで、生活習慣病を予防し、仕事の効率を高めることができ、QOL(生活の質)の改善につながります。放置しないようにしましょう。