トイレの心配はありませんか?
「急に尿意をもよおし、漏れそうで我慢できない」「トイレが近い」「夜中に何度もトイレに起きる」。それは、過活動膀胱かもしれません。日常的にトイレの心配があると、生活の質(QOL)に影響が出ます。治療法について、説明します。
過活動膀胱とは?
まずは表を見て、回答してみてください。質問3(尿意切迫感)が2点以上、合計点が3点以上なら、過活動膀胱と診断されます。過活動膀胱とは、尿意切迫感があり、通常は頻尿を伴う症状です。トイレまで間に合わずに漏らしてしまう、切迫性尿失禁を伴うこともあります。
過活動膀胱の症状がある人は、年齢とともに増加します。脳血管や神経の病気が原因となることもありますが、多くの場合は原因不明(特発性)です。膀胱の血流障害や自律神経系の活動亢こう進しんが原因ではないかとも考えられています。
過活動膀胱の治療法は?
まず行うのは膀胱訓練です。これは、尿をなるべく我慢させる訓練法で、約75%の人が改善し、副作用もないので第一に推奨される治療です。症状が重い人は、内服薬による治療も併用します。治療薬には膀胱を弛緩させて尿をためやすくする作用があります。最近は薬の種類が増え、高齢者でも内服しやすく工夫されたものもあるので、選択肢が多くなっています。しかし、内服薬で症状が改善しない、あるいは副作用があり継続できない、という人には、ボツリヌス毒素(ボトックス)膀胱壁内注入療法が勧められます。内視鏡を使って、膀胱にボトックスという薬を注射すると、膀胱の筋肉が弛緩作用を示し、異常収縮を抑えてくれます。この治療法は90カ国以上で認可されており、日本でも2020年から保険適用となりました。内服薬が不要になるほど症状が改善する人もいます。
国内の調査では、過活動膀胱の患者数は1千万人を超えると推定され、多くの人が罹患していると言われています。思い当たる症状がある人は、ためらわず、泌尿器科を受診してみてください。