日々、多くの方からご相談を受けて実感しているのが、親子のお金にまつわるトラブルの多さ、深刻さです。親が亡くなったときの遺産分割はもちろん、要介護となった親のお金についてもさまざまな問題が発生しています。「うちの資産は大したことがないから関係ない」と思われるかもしれませんが、現実には相続でもめる家族の約8割が5,000万円以下の遺産で争っており、1,000万円以下の家族も3割強というのが実態です。
例えば親の介護が必要になったとき、その費用には親のお金を使うべきですが、事故や重度の認知症などで判断能力が失われると、親の預金が下ろせなくなってしまいます。そうなると子供が負担せざるを得ず、兄弟姉妹で均等分担するとしても家計への圧迫は避けられません。そして親の死後には、主に介護に時間や労力を使った家族への対価が遺産から相続できるのか、という問題にも直面します。仲がよいと思っていた兄弟姉妹でも、こじれると後味の悪い結果が待っています。
そうならないためには、お金の話ができるような関係を親との間に築き上げ、兄弟姉妹ともよく話し合って準備しておくことが大切です。次回は親との信頼関係作りについて説明します。